感受性とのつきあい方/よしもとばなな(BOOK CLUB KAI NEWSLETTER vol.68)

嘘というのは、書いたらすぐわかっちゃいますからね。読者を甘くみるというか、バカにするようなことはしたくないと思ってきました。

今、マンションの物件なんかを見ていると、有名な高級マンションブランドのミニチュア版とか廉価版みたいなものばかりで、結局みんなそういうものを欲しがっているんだな、と感じます。日本の多様性のなさを感じるんですね。他の国だと、格差はあっても、その中でそれぞれが楽しむことを知っているような気がするんです。高層ビルの隣にバラックがあって、屋台で楽しそうに食べている人たちがいる。日本だと、新大久保の夕方のほうが、なぜか、世田谷区の路上よりも安全に感じます。世田谷の誰もいない真昼を歩いていて、ここにおかしい人がいたら死ぬなと思う率のほうが、本当はもっとすごいことが起きているはずの新大久保より高いと感じるんですよね。

自然へ戻る方向に行かなくていいんじゃないかな、ということを、意外に私ははっきりと思っています。人間が地球を存続させるためにテクノロジーを発展させる、そこにしか方向性がないんじゃないかな。みんなが大地に帰ったり、畑を耕したりはしないだろうという予測があります。

個人的には、自分が思ってもみなかった反応をするのを自分で見たいです。自分の体験を通した発見をしていきたいですね。子どもが産まれる前は、動物が6匹もいて、子どもなんてありえないと思っていたのに、だから自分では子どもがいない人生設計をたてていたぐらいなのに、今、全部、すがすがしいくらいに壊れちゃって、そういう変化がおもしろいです。書くのもそうだし、何かが壊れるところも見たいし、もっと強くなりたいし、自分がどこまで変わっていくか見ていきたい。そういう前向きの気持ちはいつも持っていたいです。


BOOK CLUB KAI



BOOK CLUB KAIは思い出したときにふらっと行くのだけど、ここの会報みたいなものが凄くおもしろくて、いつももらって帰って、読んだら捨てようと思いながらなかなか捨てられない。のだけれども、実はweb上に全部アップされてたのね……。ってことが、先程わかりました。全部手打ちしたのにー。
しかも白川静さんのインタビューまで!インターネットって、スゴイネー。

人生に悩んだりしたときに必要な本が揃っている空間でして、私は何度か行った割に(そしてしこたま買い込んでいる割に)まったく悩みが晴れるようなことはないのだけど、好きな場所です。ある種のいさぎよさが、そこにはある。いさぎよいってのはもうほんとに、魅力ですね、私にとって。

思わず「アムリタ」を読み返したつかの間の休日。

最近、自分のアイデンティティ確認のために休みになるとカレーを作っています。日々まったく自炊できていないので。何かそろそろカレーしか作れない人になってるんじゃないかと心配。

こういう髪型にしよっかな(毛先)